Access Agilent 2013年4月号

Agilent 4100 MP-AES を用いたワイン中金属の測定

Neli Drvodelic、John Cauduro
アジレントアプリケーションケミスト

金属はワイン製造プロセスに悪影響を与えることがあるため、プロセス全体で微量元素成分を分析し、厳密に管理する必要があります。たとえば、カリウム、カルシウム、鉄などの金属は、沈殿物を生成して濁りの原因となり、味にも影響を与えます。ワイン中金属の分析には、多くの一般的な分析テクニックで対応できますが、Agilent 4100 マイクロ波プラズマ原子発光分光分析装置 (MP-AES) を使えば、より安全で低いコストで分析できます。

ワイン製造においては、製造プロセスを適切に管理し、製品品質を確保する必要があります。もっとも欠かせないのが、醸造中の微量元素のモニタリングです。そのため、サンプルの回転時間と、サンプルスループットが重要となります。ほとんどのワインラボは中小規模であるため、使いやすさや必要なインフラの少なさといった要件が重視されます。

ワイン中金属の測定にもっとも広く用いられているテクニックは、フレーム原子吸光 (FAA) 分析ですが、高いサンプルスループットが求められる大規模な中央ラボでは、誘導結合プラズマ原子発光分析 (ICP-OES) が用いられることもあります。しかし、ワイン製造では一般に、醸造をおこなっているワイナリーの近くで元素分析をおこなう機能が求められます。しかしワイナリーの近くでICP-OES分析を行うのはインフラの関係で簡単ではありません。

分析コストを削減

Agilent 4100 MP-AES は、コンパクトなベンチトップ型マイクロ波プラズマ原子発光分光分析装置です。この MP-AES は、窒素ジェネレータから供給される窒素で動作するため、FAA や ICP-OES に比べて、分析コストを大幅に削減することができます。また、可燃性ガス (FAA で必要) も不要になるため、安全性が高まり、夜間の無人分析が可能になります。必要なインフラが少ないため、高価な特殊ガスの供給が難しい遠隔地での使用にも適しています。

4100 MP-AES は、検出力、ダイナミックレンジ、分析スピードという点で、FAA と ICP-OES の中間に位置します。こうした主要な性能指標を備えた MP-AES は、FAA の代わりにも ICP-OES の代わりにもなる稀有なテクニックです。4100 MP-AES は、中小規模のラボに適した魅力的な装置です。特に、遠隔地にあるラボや、継続的な分析コストをできるだけ低く抑えたいラボに最適です。

パワフルな性能を提供

Agilent 4100 MP-AES とデュワー窒素供給を用いて、各種の赤ワインおよび白ワインサンプルと、2 種類の認定参照物質を測定しました。4100 MP-AES では、磁気励起式の堅牢な窒素プラズマが生成されます。オプションの Agilent 4100 窒素ジェネレータを使えば、分析コストをさらに削減できます。

比較のために、ラジアル測光の Agilent 725 ICP-OESAgilent 240FS AA 分光分析装置でもサンプルを分析しました。表 1 は、2 種類のワインの分析結果を示しています。すべてのケースで、3 つのテクニックにより同じ結果が得られました。

サンプル

元素

濃度 (mg/L)

 

 

4100 MP-AES

240FS AA

725 ICP-OES

ワイン 1

Ca

52

52

54

K

1205

1116

1112

Na

37

37

35

Mg

148

149

150

Fe

1.2

1.1

1.0

ワイン 5

Ca

32

31

34

K

689

627

661

Na

48

48

45

Mg

121

125

134

Fe

1.8

1.7

1.7

表 1. 3 つのテクニックによるワインサンプル分析結果の比較

MP-AES では、メソッド検出下限 (MDL) も良好な値が得られました。MDL は、ブランクの 10 回繰り返し測定の標準偏差の 3 倍として計算しました。表 2 に、使用した分析波長と MDL を示しています。

元素

波長 (nm)

MDL (µg/L)

Ca

396.847

8

K

769.897

110

Na

589.592

15

Mg

285.213

11

Fe

371.993

15

表 2. MP-AES のメソッド検出下限は、優れた値を示しています。

赤ワインおよび白ワインの認定参照物質を分析し、ワインサンプル中金属の MP-AES 分析の精度を確認しました。分析結果は認定値と良好に一致し、回収率は 94~110 % でした。

多くの利点を備えた代替テクニック

Agilent 4100 MP-AES は、このアプリケーションに適した正確で信頼性の高い機器で、FAA および ICP-OES の代わりとなる理想的な代替テクニックです。認定サンプルの分析結果は参照値と良好に一致し、各種ワインサンプルの分析結果は、3 種類のテクニックすべてで良好に一致しました。

4100 MP-AES では、一般的に用いられている FAA に比べて、以下のような大きな利点も得られます。

  • サンプル前処理の大幅な簡略化と無人複数元素分析による生産性の向上
  • 検出下限の向上と直線ダイナミックレンジの拡大による性能の向上
  • 窒素で動作することによる所有コストと分析コストの削減
  • アセトニトリルや亜酸化窒素などの可燃性ガスの排除

詳細に関しては5991-1586EN でAgilent 4100 MP-AES によるワイン分析の詳細をご確認ください。