Access Agilent 2012年10月号

HPLC およびUHPLCによる菓子類に含まれる 10 種類の着色料の同時分析

Siji Joseph
アジレントアプリケーションケミスト

食品の安全性を確保するために、着色料を分析することは非常に重要です。例えば、食品中の人工着色料を過剰に摂取してしまうと、子どもが異常行動を引き起こすことがあります。そのため米国食品医薬品局 (U.S. FDA) では、認可された着色料だけを食品に使用するよう規制を設けています。この規制では、着色料の同定と定量を精度の高い手法で行うことの重要性が強調されています。ここでは、この規制が求めている高精度な分析を達成するため、2つの方法について記載します。

最初に、UV 検出器を用いて、 10 種類の着色料を約 22 分で同時分析するHPLC メソッドを適用しました。この分析には、Agilent 1260 Infinity バイオイナート LC と Agilent Poroshell EC-C18 カラムを使用しました。このメソッドでは、菓子に含まれる5種類の着色料を定量しました。

グラジエント条件下での水銀種の分離と良好な ICP-MS 検出結果。

図 1. Agilent 7696A サンプル前処理ワークベンチを使用すると、検量線作成のために必要な標準物質の調整、希釈や誘導体化などのサンプル前処理を自動で行うことができるため、精度の高いサンプル調整を高い生産性で実現できます。

次に、HPLCのメソッドをAgilent 1290 Infinity LC システムによる超高速液体クロマトグラフィー (UHPLC) で適用できるよう、Agilent Method Translator を使用してメソッド変換しました。濃度が異なる5つの溶液を調製する際には、Agilent 7696A サンプル前処理ワークベンチ (図 1) を使用しました。Agilent 7696A サンプル前処理ワークベンチは、優れた直線性と非常に精度の高い結果を提供し、操作担当者による誤差を軽減します。

Agilent 1260 Infinity LCによる10種類の着色料の分析結果

食品中の着色料を分析するため、次のモジュールで構成される Agilent 1260 Infinity  LC を使用しました。これらのモジュールは、全て Agilent ChemStation B.04.02 にて制御しました。

  • Agilent 1260 Infinity クォータナリポンプおよびデガッサ
  • Agilent 1260 Infinity 高性能オートサンプラ
  • Agilent 1260 Infinity カラムコンパートメント
  • Agilent 1260 Infinity ダイオードアレイ検出器、Max-Light フローセル付き (光路長 60 mm)
  • Agilent Poroshell 120 EC-C18 カラム、4.6 × 150 mm、2.7 µm
長さ150 mmの Agilent Poroshell 120 EC-C18 カラムを使用した 10 種類の着色料の分離。7つの波長で得られたピークの重ね表示。

図 2. 長さ150 mmの Agilent Poroshell 120 EC-C18 カラムを使用した 10 種類の着色料の分離。7つの波長で得られたピークの重ね表示 (図を拡大)。

長さ150 mmの Agilent Poroshell 120 EC-C18 カラムを使用した 10 種類の着色料の分離。7つの波長で得られたピークの重ね表示。

図 2. 長さ150 mmの Agilent Poroshell 120 EC-C18 カラムを使用した 10 種類の着色料の分離。
7つの波長で得られたピークの重ね表示。

Agilent Poroshell 120 EC-C18 カラム (4.6 ×150 mm、粒子径2.7 µm ) を使用して得られた 10 種類の着色料の分離を図 2に示します(分析時間は22分)。着色料の最大UV吸光度は、分子構造によって大きく異なるため、このクロマトグラムでは複数の波長で得られたピークを重ねて表示しています。

メソッドの有効性を評価するために、Agilent ChemStation ソフトウェアのピーク純度機能を使用して各ピークの純度をチェックしました。また、メソッドの妥当性を評価するために、検出下限 (LOD)、定量下限 (LOQ)、精度、直線範囲、確度、特異性、回収率、堅牢性を確認しました。

このメソッドの堅牢性を確認したところ、このメソッドを通常に使用した場合では信頼性の高い結果を示し、パラメータを意図的に変更させて使用した場合でも結果に大きな影響を及ぼさないことがわかりました。また回収率に関しては、菓子類に含まれる全ての着色料で 98 % を超えました。菓子類に含まれる着色料の濃度推定については、ピークの面積値を用いました。化合物の同定は、アジレントで作成したUVスペクトルライブラリを用いて、スペクトルマッチングにより行いました。

5 分の 1 の時間で分析を行うUHPLCメソッド

10種類の着色料の分析をさらにスピードアップさせるため、ダイオードアレイ検出器を使用したUHPLCメソッドを開発しました。この UHPLC メソッドでは、Agilent ChemStation B.04.02 で制御する Agilent 1290 Infinity LC システムを使用しました。この LC システムは次のモジュールで構成されています。

  • Agilent 1290 Infinity バイナリポンプ、内蔵デガッサおよび 100 µL Jet Weaver ミキサ付き
  • Agilent 1290 Infinity 高性能オートサンプラ
  • Agilent 1290 Infinity カラムコンパートメント
  • Agilent 1290 Infinity ダイオードアレイ検出器、Max-Light フローセル付き (ボリューム 1.0 µL、光路長 10 mm)
  • Agilent Poroshell 120 EC-C18 カラム、2.1 mm × 75 mm、2.7 µm

22 分で分析を行うHPLC メソッドと比較して、 UHPLC メソッドでは優れた分離能、約 81 % の分析時間の短縮、89 % の溶媒消費量の削減を達成しました(図 3)。HPLCメソッドでは、ファストグリーン FCF とその不純物 (リテンションタイム13.526分 のピーク) の分離度が全てのピークの中で最も低かったため、この分離度を用いて、この分析の総合的な分離能を短い分析時間で評価しました。HPLC メソッドではこの分離度は 3.71 でしたが、分析時間の短い UHPLC メソッドでは 1.8 よりも高い値が得られました。

Agilent 1290 Infinity LC システムで UHPLC メソッドを使用した 10 種類の着色料の高速分離。このメソッドにより、分析時間と溶媒消費量が 80 % 以上減少。

図 3. Agilent 1290 Infinity LC システムで UHPLC メソッドを使用した10種類の着色料の高速分離。このメソッドにより、分析時間と溶媒消費量が 80 % 以上減少(図を拡大)。

Agilent 1290 Infinity LC システムで UHPLC メソッドを使用した 10 種類の着色料の高速分離。このメソッドにより、分析時間と溶媒消費量が 80 % 以上減少。

図 3. Agilent 1290 Infinity LC システムで UHPLC メソッドを使用した10種類の着色料の高速分離。
このメソッドにより、分析時間と溶媒消費量が 80 % 以上減少。

メソッドの精度を評価するために、リテンションタイム (RT) と10 ngにおけるピーク面積の相対標準偏差 (RSD)を計算しました。ピーク面積と RT において低い RSD 値が示されたことにより、このメソッドの精度が高いことが示されます。これらの結果により、菓子類に含まれる着色料の定量において、迅速な分析を可能にする UHPLC メソッドの信頼性が証明されました。

この分析における詳細と情報

この分析の詳細と結果については、アジレントアプリケーションノート 5990-9525EN をご覧ください。また、菓子類に含まれる着色料を正しく分析するために必要なすべての条件を確認するには、アジレントまでお問い合わせください。