Access Agilent 2012年7月号

選択性の幅が広がり、あらゆる HPLC/UHPLC の分析の幅が広がります。

William Long
アジレントアプリケーションサイエンティスト

Agilent Poroshell 120 C18 および C8 カラムなどの表面多孔性カラムは、一般的なHPLCで高効率、高分離能、高速分析を実現する優れた分析ツールです。

しかし、表面多孔性の C18 や C8 を用いても最適な分離が実現しない場合は、どうすればいいでしょうか?そんなときには、異なる選択性のカラムを使用する必要があります。アジレントが Poroshell 120 カラムのラインナップを拡充させた理由は、そこにあります。これまでに、Poroshell 120 Phenyl-Hexyl および SB-Aqの2種類が既存の EC-C18、SB-C18、EC-C8に加わりました。さらに、2012年7月に、Poroshell 120 SB-C8 と Bonus-RPが発売になりました。

液体クロマトグラフィにおける一般的なメソッド開発パラメータ――分離における選択性、効率、保持力の影響。

図 1. 液体クロマトグラフィにおける一般的なメソッド開発パラメータ――分離における選択性、効率、保持力の影響 (図を拡大)。

液体クロマトグラフィにおける一般的なメソッド開発パラメータ――分離における選択性、効率、保持力の影響。

図 1. 液体クロマトグラフィにおける一般的なメソッド開発パラメータ――分離における選択性、効率、保持力の影響。

分離に大きな影響を与える選択性

メソッド開発の際には、クロマトグラフィの選択性の原理を無視するわけにはいきません。カラムの粒子サイズにかかわらず、選択性はきわめて重要となります。図 1 に、クロマトグラフィの基本的な分離方程式と、各種パラメータの影響のグラフを示しています。この図から、アルファ (選択性) は、分離にもっとも大きな影響を与える重要なパラメータであることがわかります。そのため、メソッド開発では、選択性がもっとも重要な項目とされています。選択性は移動相と結合相により変化することを覚えておいてください。

分離を向上させたい場合、まず試してみるべきもっとも簡単な選択肢は、移動相を変えることです。有機修飾剤 (ACN、MeOH など) を使用したり、幅広い pH 範囲で pH を変化 (pH 2~pH 7 を推奨) させたりする方法があります。第 2 の選択肢は、違う結合相を使うことです。この方法は、メソッドの最適化という点に関して、大きな可能性を秘めています。

適切なカラムケミストリ (結合相) を選択すれば、多くの場合、総分析時間を短縮できます。また、無極性化合物と極性化合物を含むサンプルを分析している場合は、ピーク溶出順序を変えることもできます。しかし一般に、早くに溶出する極性化合物の場合、異なるカラムでの保持力の違いが小さくなる傾向があります。つまり、そうした溶出の早い分析対象化合物の分離能を損なわずに、分析時間を短縮できるということです。こうした選択性の違いを活用すれば、良好な分離能を保ったまま、分離を高速化することが可能です。

Agilent Poroshell 120 カラムを用いたアゾ色素分解物の分離。Poroshell 120 Phenyl-Hexyl では、この極性化合物でもっとも良好な分離が得られており、共溶出はありません。

図 2. Agilent Poroshell 120 カラムを用いたアゾ色素分解物の分離。Poroshell 120 Phenyl-Hexyl では、この極性化合物でもっとも良好な分離が得られており、共溶出はありません (図を拡大)。

Agilent Poroshell 120 カラムを用いたアゾ色素分解物の分離。Poroshell 120 Phenyl-Hexyl では、この極性化合物でもっとも良好な分離が得られており、共溶出はありません。

図 2. Agilent Poroshell 120 カラムを用いたアゾ色素分解物の分離。Poroshell 120 Phenyl-Hexyl では、
この極性化合物でもっとも良好な分離が得られており、共溶出はありません。

Agilent Poroshell 120 カラムを用いたベータ遮断薬の分離。Poroshell 120 Bonus-RP では、この極性化合物でもっとも良好な分離が得られており、もっとも早く溶出しています。溶出順序の変化に注目してください。

図 3. Agilent Poroshell 120 カラムを用いたベータ遮断薬の分離。Poroshell 120 Bonus-RP では、この極性化合物でもっとも良好な分離が得られており、もっとも早く溶出しています。溶出順序の変化に注目してください (図を拡大)。

Agilent Poroshell 120 カラムを用いたベータ遮断薬の分離。Poroshell 120 Bonus-RP では、この極性化合物でもっとも良好な分離が得られており、もっとも早く溶出しています。溶出順序の変化に注目してください。

図 3. Agilent Poroshell 120 カラムを用いたベータ遮断薬の分離。Poroshell 120 Bonus-RP では、
この極性化合物でもっとも良好な分離が得られており、もっとも早く溶出しています。溶出順序の変化に注目してください。

標準的なアルキル相よりも高い選択性を備えた
Poroshell 120 Phenyl-Hexylカラム

Poroshell 120 Phenyl-Hexyl は、アルキル結合相とは異なる選択性を提供します。そのため、芳香族基、特にメタノール中の π 活性化合物に推奨されます。この相は、アゾ色素などの極性化合物の分離に用いられる、水性成分含有量の高い移動相に対応できます。 2 では、単純な一般的グラジエントを用いて、9 種類のアゾ色素分離に関して、4 つの Poroshell 120 相を比較しています。色素には、1~3 種類の芳香環が含まれます。このフェニルヘキシルカラムでの分離を、2 つの C18 カラムおよび 1 つの極性埋め込み型カラムと比較しました。

Poroshell 120 Phenyl-Hexyl は、独自の逆相選択性を備えています。特に、極性のある芳香族化合物や複素環化合物で、その独自性が大きくなります。この選択性は、芳香環をもつ化合物と非局在化電子との相互作用から生まれています。多くの場合、フッ素基やニトロ基などの芳香族電子吸引性基をもつ化合物で、より大きな保持力と選択性が観察されます。フェニルヘキシル相は、標準的なアルキル相に比べて、(芳香族化合物に対して) 高い選択性を備えています。これは、p-p 相互作用に起因するものです。こうした相互作用はメタノール中で増進されますが、アセトニトリルを使用することも可能です。

塩基性化合物のピーク形状を向上させる Poroshell 120 Bonus-RPカラム

Poroshell 120 Bonus-RP 相では、水素結合供与体の保持力が上昇し、水素結合受容体とイオン性塩基の保持力が低下します。この相は一般に、アルキルカラムやフェニルカラムよりも疎水性が低く、塩基性化合物のピーク形状が向上します。 3 では、7 つのベータ遮断薬の分離において、4 つの Poroshell 120 カラムを比較しています。

Poroshell と ZORBAX – 同じ選択性により、信頼性の高いメソッド開発と
メソッド変換を実現

Agilent Poroshell 120 カラムは、アジレントの全多孔性カラムと同じ選択性をもつように設計されています。そのため、Agilent Poroshell 120 EC-C18 と Agilent ZORBAX Eclipse Plus C18 を比較すると、きわめてよく似たクロマトグラムが得られます。Poroshell 120 は、Eclipse Plus C18 などのサブ 2 ミクロンカラムの 90 % の効率を、およそ 60 % の圧力で得られるように設計されています。これらの汎用性の高い結合相は、幅広い分析対象化合物で優れた分離能が得られるため、メソッド開発で最初に使用するカラムとして最適です。Agilent ZORBAX ファミリー HPLC カラムの利点の 1 つに、異なる粒子サイズ間でのメソッドの拡張性があります。これにより、メソッド開発から前処理ラボ、ハイスループット分析へのメソッド変換が迅速化し、変換の信頼性も高まります。

最適なカラムを選んで最高の選択性を実現

以上のように、カラムの選択性は、分離分析を行う科学者にとって重要なツールです。選択性を変えるのは簡単です。移動相の修飾剤または pH を変更するか、手動またはスイッチングバルブを使用して異なる結合相を組み込めば、分析の選択性を変えることができます。選択性を変更すると、溶出順序や化学特性 (疎水性、電子供与/受容、π-π 相互作用) による化合物のグループ分けが変化したり、ピーク形状が向上する場合もあります。

Agilent Poroshell 120 カラム相は、選択性と効率の両方を求めている場合に特に威力を発揮します。アジレントの相ラインナップは、常に拡大しています。Poroshell 120 カラムの利点の詳細については、こちらのビデオをご覧ください。