Access Agilent 2011年11月号

Agilent Bond Elut Plexa PAX - ヒト血漿から酸性化合物を抽出するよりシンプルな方法

William Hudson
アジレント上級研究員

一般的に、医薬品業界の多くの生体分析化合物は塩基性であり、疎水性または陽イオン交換吸着剤を使用することで容易に抽出することができます。しかし、脂質降下剤スタチンや抗炎症薬は酸性を示すという特性を持っています。このような化合物の抽出に従来の疎水性メソッドを使用すると、問題が発生することがあります。これが、このプロセスを合理化し、簡略化するように特別に設計された新しいポリマー系強陰イオン交換カラム、Bond Elut Plexa PAX をアジレントが開発した理由です。

Agilent Bond Elut Plexa PAX を使用した血漿からの酸性薬物の抽出方法

図 1. Agilent Bond Elut Plexa PAX を使用した血漿からの酸性薬物の抽出方法(図を拡大)。

サンプル: 100 µL ヒト血漿
SPE:Bond Elut Plexa PAX 30 mg、96 ウェルプレート (p/n A4967030)

前処理

2% NH4OH を使用して 1:3 に希釈

コンディショニング

1. 500 µL MeOH
2. 500 µL H2O

洗浄

1. 500 µL H2O
2. 500 µL MeOH

溶出

500 µL の 5% ギ酸 MeOH 溶液

LC の条件

カラム

Pursuit XRs Diphenyl、2.0 x 50 mm、3 µm (p/n A6011050X020)

移動相

A、5 mM ギ酸アンモニウム
B、メタノール

グラジエント

t = 0 ~ 50% A:50% B
t = 2:0 ~ 2:59 分 20% A:90% B
t = 3:0 ~ 4:00 分 50% A:50% B

MS の条件

化合物

LogP

PKa

アトルバスタチン

5.7

4.5

ジクロフェナク

4.2

4.2

フロセミド

1.5

4.7

ケトプロフェン

3.2

5.2

プラバスタチン

2.6

4.6

化合物

Q1

Q3

CE(V)

アセチルサリチル酸

136.0

136.0

5.0

アトルバスタチン

557.4

397.0

30.0

ジクロフェナク

293.7

249.6

10.5

フロセミド

328.8

284.7

13.0

ケトプロフェン

252.7

208.7

7.0

プラバスタチン

423.3

320.1

13.0

キャピラリ

41 V

乾燥ガス温度

285 °C、30 psi

ボルテックスガス

300 °C、20 psi

ネブライザガス

50 psi

CID

アルゴン

極性

図 1. Agilent Bond Elut Plexa PAX を使用した血漿からの酸性薬物の抽出方法

シンプルな汎用抽出

Agilent Bond Elut Plexa PAX を使用して酸性化合物を抽出するためのシンプルな汎用メソッドを開発してました。このメソッドの性能を評価するために、充てん層からの対象化合物の回収率、抽出したサンプル応答の直線性、スパイク添加した血漿サンプルの確度および精度を測定しました。

メソッドのバリデーションプロセスには時間がかかり、高品質のデータを必要とするため、迅速で、良好な回収率と高い再現性を持つ固相抽出 (SPE) メソッドが必要です。データの完全性を犠牲にすることなく SPE プロセスを合理化できれば、メソッドのバリデーションを短縮し、簡略化することができます。Bond Elut Plexa ファミリは、汎用メソッドを使用してメソッド開発を最小限に抑えると同時に、分析感度と再現性も向上させます。

簡単なワークフロー

2% NH4OH と 5% ギ酸が含まれる Agilent Bond Elut Plexa PAX 96 ウェルプレートを使用して、実証を行いました。抽出のワークフローを図 1 に示します。すべてのサンプルを蒸発乾固し、100 µL の 80:20 5 mM ギ酸アンモニウム水溶液 CH3OH に再溶解しました。Agilent 325-MS LC/MS 機器、vESI で LC/MS を実行しました。

再現性の高い回収率

回収率は、対象化合物の応答を測定し、これをスパイク添加した移動相標準と比較することにより測定しました。抽出の非効率性、イオン抑制、または非溶離による対象化合物の損失を回収率で測定しました。50 ~ 60% の範囲内の回収率がありますが、優れた直線性とメソッドの精度が示すように、応答が直線的であることがわかります。すべての化合物について、7% 未満の RSD で、再現性の高い 50% を超える回収率が得られました (表 1)。

薬物

%
回収率

% RSD
(n=6)

アトルバスタチン

62

4.4

ジクロフェナク

52

3.7

フロセミド

96

6.1

ケトプロフェン

67

2.3

プラバスタチン

95

3.4

表 1. Agilent Bond Elut Plexa
PAX を使用した酸性薬物の回収率

Agilent Bond Elut Plexa PAX を使用した酸性薬物の回収率の良好な直線性

図 2. Agilent Bond Elut Plexa PAX を使用した酸性薬物の回収率の良好な直線性(図を拡大)。

Agilent Bond Elut Plexa PAX を使用した酸性薬物の回収率の良好な直線性

図 2. Agilent Bond Elut Plexa PAX を使用した酸性薬物の回収率の良好な直線性

Agilent Bond Elut Plexa PAX を使用したヒト血漿の 50 ng/mL 抽出物のサンプルクロマトグラム

図 3. Agilent Bond Elut Plexa PAX を使用したヒト血漿の 50 ng/mL 抽出物のサンプルクロマトグラム(図を拡大)。

Agilent Bond Elut Plexa PAX を使用したヒト血漿の 50 ng/mL 抽出物のサンプルクロマトグラム

図 3. Agilent Bond Elut Plexa PAX を使用したヒト血漿の 50 ng/mL 抽出物のサンプルクロマトグラム

0.5 ~ 200 ng/mL の範囲内で良好な直線性が得られました (図 2)。検量線の抽出物精度を測定するために、50 ng/mL の中間濃度を選択しました (表 2)。最後に、メソッドの有効性を示すクロマトグラムの例を図 3 に示します。

薬物

0.5 ng/mL

50 ng/mL

精度 (%)

% RSD (n=8)

% 精度

% RSD (n=8)

アトルバスタチン

90

11

106

11

ジクロフェナク

116

14

109

6

フロセミド

99

14

95

9

ケトプロフェン

104

13

108

4

プラバスタチン

108

9

96

8

表 2. 検量線の抽出物精度

Bond Elut Plexa PAX と良好な回収率を提供するシンプルなメソッド

Agilent Bond Elut Plexa PAX を使用したこのシンプルなメソッドで、酸性化合物を容易に抽出できることがわかります。さらに、この吸着剤がすべての化合物について優れた回収率を提供し、ヒト血漿の 0.5 ~ 200 ng/mL の範囲で直線性を示すといった利点もあります。また、検量線が直線のため、一次回帰で 0.995 を超える相関係数が得られます。このメソッドは精度と再現性が高く、ほとんどの結果が真の値の 10% 以内、RSD はすべての化合物について 15% 未満です。

すべての Agilent Bond Elut ソリューションの詳細をご覧になり、Bond Elut Plexa PAX とアジレントの固相抽出製品をラボの作業にお役立てください。