Access Agilent 2011年11月号

デュエルボリュームの影響を排除

Rita Steed
Agilent LC カラム技術サポートスペシャリスト

デュエルボリュームとそれが分離に与える影響について、ケミストから質問を受けることが頻繁にあります。そのほとんどが、特にラボ間でメソッドを移管するときに、デュエルボリュームの異なるさまざまな機器で同じサイズのカラムを使用することについてです。ただし、デュエルボリュームは、機器が同じ場合でも、カラム寸法とボリュームを変更したときには問題となります。ここでは、これらの問題に対する解決策について簡単に説明します。

デュエルボリューム: 低圧混合クォータナリポンプ

図 1. デュエルボリューム: 低圧混合クォータナリポンプ(図を拡大)。

デュエルボリューム: 低圧混合クォータナリポンプ

図 1. デュエルボリューム: 低圧混合クォータナリポンプ

デュエルボリューム: 高圧混合バイナリポンプ

図 2. デュエルボリューム: 高圧混合バイナリポンプ(図を拡大)。

デュエルボリューム: 高圧混合バイナリポンプ

図 2. デュエルボリューム: 高圧混合バイナリポンプ

異なるデュエルボリュームを持つ機器を使用したときのデュエルボリュームと、分離能に与えるその影響

図 3. 異なるデュエルボリュームを持つ機器を使用したときのデュエルボリュームと、分離能に与えるその影響(図を拡大)。

異なるデュエルボリュームを持つ機器を使用したときのデュエルボリュームと、分離能に与えるその影響

図 3. 異なるデュエルボリュームを持つ機器を使用したときのデュエルボリュームと、分離能に与えるその影響

デュエルボリューム – 定義

デュエルボリュームとは、複数の溶媒が初めて混合されるポイント (通常は混合チャンバまたはプロポーショニングバルブ) と LC カラムのヘッド間のボリュームのことです。低圧混合システムのデュエルボリュームは、プロポーショニングバルブから、ポンプやその他のシステムコンポーネントを通り、カラムヘッドまでのすべてのボリュームに等しくなります (図 1)。高圧混合システムのデュエルボリュームは、2 つのメタリングポンプの後、溶媒が最初に混合される場所からカラムヘッドまでのすべてのボリュームに等しくなります (図 2)。

デュエルボリュームは、アイソクラティックメソッドの保持力には影響を与えませんが、グラジエントメソッドの保持力には大きな影響を与えます。システムのデュエルボリュームがカラムボリュームよりも非常に大きい場合、知らないうちに分析結果に重大な影響を与えてしまう可能性があるので注意が必要です。。

同一のカラム、異なる機器

同じサイズのカラムを異なる機器で使用する場合は、デュエルボリュームが問題となることが頻繁にあります。これは、異なるデュエルボリュームを持つ機器でメソッドを実行すると、結果に影響を与えることがあるからです。グラジエントがカラムのヘッドに到達する前に、同じボリュームの移動相がカラムを通過することを確認する必要があります。図 3 からわかるように、移動相のボリュームが異なると結果も異なります。

2 つの個別のラボの異なるデュエルボリュームを持つ HPLC 機器で同じメソッドを実行すると、メソッドが厳密に同様に実行されない可能性が高くなります。これは、カラムヘッドに達するまでに 2 つ (またはそれ以上) の移動相の混合ポイントからカラムヘッドまでの流路の容量が異なるためです。このため、注入後に、溶媒混合比率の時間変化が異なるプロファイルとなってしまうため、その保持力と分離能に影響を与えます。したがって、グラジエントメソッドを 1 つの機器から別の機器に移動したときにリテンションタイムがシフトする場合は、2 つのシステムのデュエルボリュームを比較してください。流路の容量がが近くなるほど、結果も近づきます。

相違が見つかった場合は、いくつかの方法で修正することができます。デュエルボリュームが小さい方の機器にボリュームを追加することで、デュエルボリュームを調整できます。または、デュエルボリュームが大きい方の機器の接続チューブの内径や長さを小さくすることもできます。別のアプローチとして、メソッドにグラジエント遅延を導入し、フローシステムで異なる滞留時間を補正する方法もあります。

Agilent 1290 Infinity システム を使用している場合は、 インテリジェントシステムエミュレーション技術 (ISET) という容易なソリューションがあります。ISET は、1290 Infinity LC でのアジレントや他社 LC システムのさまざまなディレイボリュームと混合操作をエミュレートし、メソッドやハードウェアの変更なしで同じ結果を提供します。詳細については、アジレント資料番号 5990-8670EN を参照してください。

同一の機器、異なるカラム寸法

1 台の機器でカラムの内径とカラムボリュームを変更した場合は、この変更が分離に与える影響が懸念されます。条件を同じにするために、カラム内径を変更するときにカラムボリュームの違いを補正する必要があります。

デュエルボリュームが 1 mL の機器を使用しているものと仮定します。2.1 x 100 mm カラムのボリュームが 0.2 mL で、流量が 0.2 mL/min のとき、カラムのヘッドにグラジエントが到達するまでに 5 分間 (カラムボリューム×5) かかります。本質的には、これは、グラジエントが開始されるまでにカラムで生じるアイソクラティックホールドです。ボリュームが約 1 mL、流量が 1 mL/min の 4.6 x 100 mm カラムなど、ボリュームが大きいカラムに変換すると、デュエルボリュームはわずか1本分のカラムボリューム と同じとなります。

小さいカラムと同様に 4.6 mm カラムで同じ条件をシミュレートするには、アイソクラティックホールドを追加する必要があります。このようにして、4.6 mm カラムでは、グラジエントがカラムのヘッドに達するまでの容量を増やしことになります。異なるカラム内径のカラムを使用する毎にグラジエント条件を調整する必要があります。

これまで説明してきたように、デュエルボリュームは、日常的な作業で発生する問題の 1 つにすぎません。これらを始めとしたさまざまな課題に対する解決策を確認するには、アジレントの包括的な新しい文献『 The LC Handbook: Guide to LC Columns and Method Development』(資料番号 5990-7595EN) の無償コピーをダウンロードし、ご覧ください。