Access Agilent 2011年11月号

タンパク質を除去するための簡単で再現性の高い前処理方法 - Agilent Captiva ND

Mike Chang
アジレントサンプル前処理アプリケーションケミスト

生体マトリックスに含まれる化合物を LC/MS/MS を使用して分析する場合は、最初にタンパク質を除去する必要があります。最近までは、沈殿後に遠心分離を行う方法が一般的でしたが、多くの手動による手順を伴うため、高スループット処理に理想的な方法ではありませんでした。

現在では、Agilent Captiva ND を使用することで、完全に自動化された、96 ウェルプレートでのウェル内沈殿を活用することにより、時間を短縮し、コストと労力を軽減することができます。

Agilent Captiva ND  – 独自のノンドリップ技術による操作の簡略化

Agilent Captiva ND は、シンプルな操作を実現するノンドリップ技術を使用した新しいタンパク質沈殿ろ過プレートです。Captiva ND の特別に設計されたろ過素材は、ノンドリップ技術により沈殿に使用する有機溶媒を効果的に保持し、サンプルの損失を防ぎ、円滑な自動化メソッドを可能にします。必要な処理は、生体サンプルを添加し、有機溶媒と混合して沈殿させ、バキューム処理により沈殿したタンパク質をろ過して除去することだけです。その結果、わずか数分間で粒子やタンパク質を含まないサンプルが得られます。これは、遠心分離による除去の 5 倍の速さです。

Captiva ND の利点を実証するために、ベータ遮断薬の LC/MS/MS 分析で Agilent ZORBAX Eclipse Plus RRHD カラムと Agilent 1290 Infinity LC を使用して遠心分離法との比較を行いました。図 1 に Captiva ND を使用したサンプル前処理メソッドを、図 2 に遠心分離メソッドを示しています。LC の条件を図 3 に示します。

Agilent Captiva ND 96 ウェルプレート、0.45 µm、10 mg (p/n A5969045) を使用したタンパク質の除去

図 1. Agilent Captiva ND 96 ウェルプレート、0.45 µm、10 mg (p/n A5969045) を使用したタンパク質の除去(図を拡大)。

Agilent Captiva ND 96 ウェルプレート、0.45 µm、10 mg (p/n A5969045) を使用したタンパク質の除去

図 1. Agilent Captiva ND 96 ウェルプレート、0.45 µm、10 mg (p/n A5969045) を使用したタンパク質の除去

遠心分離によるタンパク質の除去

図 2.遠心分離によるタンパク質の除去

LC の条件

図 3. LC の条件(図を拡大)。

カラム

Agilent ZORBAX Eclipse Plus RRHD C18、2.1 x 5.0 mm、1.8 µm (p/n 959757-902)

LC/MS/MS

Agilent 1290 Infinity LC を汎用 MS システムと結合

溶離液 A

0.1 % ギ酸水溶液

溶離液 B

0.1 % ギ酸 ACN 溶液

流量

0.5 mL/min

注入量

1 µL

グラジエント

時間 (分)

%B

0

30

1.0

90

1.1

30

1.5

30

温度

室温

イオン源

ESI+

乾燥ガス温度

300 °C

乾燥ガス圧力

18 psi

ネブライザ

55 psi

ボルテックス
ガス温度

300 °C

ボルテックス
ガス圧力

25 psi

ニードル電圧

4,000 V

CID ガス圧力

1.5 mTorr

サンプル

 

pKa

Log P

MS/MS
トランジション

コリジョン
エネルギー

キャピラリ

ナドロール

9.67

0.81

310.4 → 254.0

15.5

120

プロプラノ
ロール

9.42

3.48

260.3 → 115.9

15.0

120

ピンドロール

9.25

1.75

249.3 → 115.9

17.5

120

メトプロロール

9.70

1.90

268.4 → 115.9

18.0

120

図 3. LC の条件

長寿命の Captiva ND は高スループットに理想的

生体サンプルのクリーンさを証明する最も容易で有効な方法は、連続注入により再現性を確認することです。Captiva ND によって前処理したサンプルを 5,000 回の注入による測定でテストし、リテンションタイム、MS 面積カウント、および背圧を監視しました (図 4 ~ 6)。

Agilent Captiva ND を使用した連続測定でのシステム背圧のデータ

図 4. Agilent Captiva ND を使用した連続測定でのシステム背圧のデータ(図を拡大)。

Agilent Captiva ND を使用した連続測定でのシステム背圧のデータ

図 4. Agilent Captiva ND 96 ウェルプレート、0.45 µm、10 mg (p/n A5969045) を使用したタンパク質の除去

Agilent Captiva ND サンプルの 5,000 回連続注入によるリテンションタイムのデータ

図 5. Agilent Captiva ND サンプルの 5,000 回連続注入によるリテンションタイムのデータ(図を拡大)。

Agilent Captiva ND サンプルの 5,000 回連続注入によるリテンションタイムのデータ

図 5. Agilent Captiva ND サンプルの 5,000 回連続注入によるリテンションタイムのデータ

Agilent Captiva ND により前処理し、ベータ遮断薬を添加した血漿サンプルの MS 面積カウントのデータ

図 6. Agilent Captiva ND により前処理し、ベータ遮断薬を添加した血漿サンプルの MS 面積カウントのデータ(図を拡大)。

Agilent Captiva ND により前処理し、ベータ遮断薬を添加した血漿サンプルの MS 面積カウントのデータ

図 6. Agilent Captiva ND により前処理し、ベータ遮断薬を添加した血漿サンプルの MS 面積カウントのデータ

5,000 回の注入にわたる測定の結果、Captiva ND の再現性の高い流量によって、高スループット環境で均一なサンプル処理と信頼性の高いろ過回収率を実現しながら、背圧、リテンションタイム、MS シグナルなどの安定した監視パラメータを保持できることがわかりました。

卓越した時間短縮

Captiva ND を遠心分離と比較すると、使いやすさと時間短縮という利点があることがわかります (表 1)。

Captiva ND*

時間 (分)

遠心分離

時間 (分)

 

0.2 mL のスパイク添加した血漿サンプルと 0.6 mL の ACN + 0.1% ギ酸を Captiva ND 96 ウェルプレートに加える

5

0.2 mL のスパイク添加した血漿サンプルと 0.6 mL の ACN + 0.1% ギ酸を遠心チューブまたは空の 96 ウェルプレートに加える

5

ピペットを使用して、各ウェルを 5 回混ぜる

10,000 rpm で 10 分間遠心分離する

11

インジェクションプレートに直接移して分析する

0

上澄みを 2 mL 注入バイアル (チューブを使用する場合) または新しい空の 96 ウェルプレート (プレート形式を使用する場合) に移動して分析する

10

Captiva ND を使用したサンプル前処理に必要な時間の合計

5

遠心分離を使用したサンプル前処理に必要な時間の合計

26

* Tomtec または Hamilton などのロボットシステムによる自動化を利用

表 1. Agilent Captiva ND を使用すると、遠心分離に比べて貴重な時間を短縮できます。

Captiva ND は遠心分離の 5 倍高速で、サンプルの節約と複数の手動手順の排除に役立つノンドリップ設計を採用しています。したがって、遠心分離から切り替えると、時間が短縮されるだけではなく、技術者のトレーニングが短縮でき、サンプルのコストも削減されます。

自動化可能な Captiva ND – 最適な高スループットソリューション

Agilent Captiva フィルタプレートは、高スループットラボに最適なソリューションです。容易に自動化することができ、独自のノンドリップ設計により、バキューム処理が行われるまで有機溶媒が流れることはありません。Captiva ND のデュアルフィルタが膜の目詰まりやサンプルの損失を防止します。そのきわめて効率的なタンパク質の除去処理は遠心分離の 5 倍高速で、MS 感度に影響を与えることもありません。

Agilent Captiva NDアジレントのサンプル前処理の詳細をご覧になり、Captiva ND をお客様のラボでご活用ください。