Access Agilent 2011年8月号

水中の合成甘味料の検出を向上させる SPE テクニック

Sabine Junginger
Zweckverband Landeswasserversorgung、ドイツ
Elisabeth Korte
アジレントテクニカルマーケティング、サンプル前処理製品担当

合成甘味料は、肥満や虫歯を防止するメリットがあることから、ますます広く使用されるようになっています。しかし、一部の合成甘味料については、動物において腫瘍を引き起こすおそれがあることが、研究により明らかになっています [1]。こうした人体の健康を脅かす危険性を回避するためには、食品や水に含まれる合成甘味料の量を効果的に監視することが重要となります。

図 1. この研究に用いた合成甘味料の化学構造 (図を拡大)。

残念ながら、下水処理施設では、廃水に含まれる合成甘味料を完全に取り除くことはできません。そのため、そうした残留物が下流の水を汚染するうえに、飲料水のなかに入りこむおそれもあります。たとえば、アセスルファム、サッカリン、チクロ、スクラロースは、いずれもドイツの地表水で検出されています [2]。

固相抽出 (SPE) を用いれば、LC/MS 分析において、水に含まれる合成甘味料を濃縮し、定量や検出を円滑に実施することができます。この例では、4種類の甘味料 (図 1) のルーチン検出に使用できる堅牢な SPE メソッドを開発しました。このメソッドでは良好な回収率と標準偏差が得られています。

SPE による水サンプルの抽出および濃縮手順

この研究では、Agilent Bond Elut Plexa (親水性ポリマー粒子 SPE ) を用いて、水サンプルから極性の高い化合物と中程度の極性を持つ化合物を抽出しました。各サンプル中のアセスルファム、チクロ、サッカリン、スクラロースは 1 ppb です。

Bond Elut Plexa 200mg SPE カートリッジを用いて、SPE により水サンプルを濃縮しました。メタノール 3mL に続き、酸性 HPLC 水 (硫酸、pH 2) 3mL によりカートリッジを調整、流速は 5mL/min です。硫酸により、各 100 mL の水サンプルを pH 2 に調整し、流速 5mL/min でロードしました。

メタノール 5mL により、カートリッジから分析対象化合物を溶出させました。流速は 2mL/min 、窒素流により、溶媒を蒸発させてほぼ完全に乾燥させ、アセトニトリル:水 (5:95) 1mL に溶解しました。

優れた回収率が得られる簡単な SPE メソッド

表 1 は、注入量 20µL および 2µL における 4種類の甘味料の回収率と RSD を示しています。表からもわかるように、注入量 20µLでは、アセスルファム、サッカリン、スクラロースで 86% を超える回収率が得られています。きわめて極性の高いチクロナトリウム塩でも、74% の回収率が得られています (注入量 2µL では、スクラロースは検出されませんでした)。

 

  回収率と RSD (%)
注入量 アセスルファム チクロ サッカリン スクラロース
 20 µL 86 74 91 86
 RSD 20 µL 7 5 2 15
 2 µL 92 77 92 nd*
 RSD 2 µL 7 5 2 -
表 1.Agilent Bond Elut Plexa による SPE 後に LC/MS/MS で分析して得られた水サンプル中甘味料の回収率と RSD。甘味料の添加濃度は 1 ppb。
*nd = 未検出

この結果は、水中の合成甘味料を抽出するための濃縮作業についての Bond Elut Plexa の有効性を裏付けています。高い回収率が得られるこの使いやすい吸着剤は、水監視ラボのルーチン分析に最適です。
最先端の SPE 製品や、最新の SPE テクニックの詳細については、アジレントの SPE 製品ページをご覧ください。

参考文献

  1. Takayama et al., Long-term toxicity and carcinogenicity study of cyclamate in nonhuman primates. Toxicol. Sci. (2000) 53: 33-39.
  2. Scheurer et al., Analysis and occurrence of seven artificial sweeteners in German wastewater and surface water and in soil aquifer treatment. Anal. Bioanal. Chem. (2009) 394: 1585–1594.