Access Agilent 2011年6月号

バイオイナート UHPLC: 夢が現実に

Katja Kornetzky
1220 Infinity LC、1260 Infinity バイオイナート LC、アジレントプロダクトマネージャ

生体高分子の分析や超微量金属の ICP-MS 化学種同定など、数多くの生化学アプリケーションには、サンプルとの相互作用を起こさない堅牢な分析システムが求められています。バイオイナート(生体不活性)ではない機器を使用すると、疎水性巨大分子が非特異的に結合しその結果、ピークのテーリング、ディスクリミネーション、キャリーオーバーが発生するする可能性があります。

不動態化処理は、特に重要な抗体分析で生体不活性を実現するための方法の 1 つでが、この処理は操作に手間がかかるだけでなく、強酸を用いて繰り返し実行しなければなりません。不活性と金属接触がゼロの条件が不可欠な場合は、ステンレスフリーの HPLC システムが最も有効な選択肢となります。

従来の PEEK-を使用した HPLC システムは、SEC やイオン交換などの低圧アプリケーションに適しています。ただし、粒子径の小さいカラム技術を使用した高速/高分離分析を行う場合は実高圧に耐えるシステムが必要です。

図 1. アジレント独自の設計によるバイオイナート PEEK 製バイオイナートキャピラリ (図を拡大)。

新しい技術により性能を低下させることなくバイオイナート UHPLC を実現

Agilent 1260 Infinity バイオイナート HPLC は、4液グラジエント送液と、チタンポンプおよびバイオイナートキャピラリによるステンレスフリーの特長を備えており、高塩濃度 バッファー(最大 2 M) や pH1から13 (短期間の場合は pH14) の溶媒が使用可能です。、このため、一般的な HPLC バイオアプリケーションと、非常に低い金属バックグラウンドが不可欠な HPLC-ICP-MS の両方に対応することができます。

1260 Infinity バイオイナート HPLC のキャピラリは、サンプルとシステムの金属成分間の 2 次的な相互作用を軽減し、金属溶出をできる限り低いレベルに抑えるように設計されています。下記の特長を有しています。

  • 各キャピラリの内部はバイオイナート PEEK 製で、外部は高圧 (最大 60MPa) に耐えるステンレス (SST) 製になっています。

  • 純度の高い PEEK ソケットシステムが PEEK/SST キャピラリに施されているため、溶媒やサンプルがSST (外部) と接触することがありません。 (図 1)。

システムモジュールにも変更が加えられ、生体不活性を実現しています。例えば、オートサンプラにはセラミックニードルと PEEK ニードルシートを採用しました。、または検出器のMWD、DAD (1260 Infinity VL+)、FLDに対してバイオイナートフローセルを用意しています。

試験: ICP-MS を使用した金属溶出の測定

この例では、Agilent 1260 Infinity バイオイナート HPLC システムのチタン製ポンプからの金属溶出の試験を実施しました。この値を、Agilent 1100 HPLC システムからの金属溶出を ICP -MS を使用して測定した過去のテクニカルノート [1] と比較しました。

この実験には Agilent 7700x ICP-MS を使用しています。Agilent 7700x は検出下限が低く、オクタポールコリジョンモードによって、移動相成分により生じる分子の干渉が軽減されます。 (移動相には、0.1% ギ酸、リン酸ナトリウム緩衝液、100 mM NaOH などの一般的な溶離剤を使用)。分析対象の元素は、Fe、Cd、Cr、Cu、Au、Zr などです。

結果: 真の生体不活性

図 2 に、1100 HPLC システムのテクニカルノートで使用した 2 つの移動相の金属溶出をまとめました。これらの値を、同じ移動相を使用して 1260 Infinity バイオイナート HPLC システムで測定された値と比較しました。

図 2. 0.1 % ギ酸/NaOH で洗浄した後の Agilent 1100 HPLC (オレンジ色のバー) と Agilent 1260 バイオイナート HPLC (青色のバー) システムの金属溶出の比較 (図を拡大)。

軸の下部にある細い青色のバーに注意してください。これは 1260 Infinity バイオイナート HPLCでの測定結果 を表し、1 µg/l をしきい値として示しています。ステンレスシステムから一般に溶出される元素 (クロム、マンガン、鉄、ニッケル、亜鉛など) の値は 1 µg/l であるか検出下限よりも低く、 pH レベルを変化させても大きな影響は見られません。これは、Ti や Zr などの元素の濃度がわずかに高くなっていますが、これはサンプルパスが耐腐食性を持つチタン、白金、セラミック、不活性ポリマで構成されているためです。

これと比較して、1100 HPLC システムでは、100 mM NaOH における金属溶出とあわせた金属溶出が大幅に高くなっています。

これらの結果は、さまざまな移動相に対する 1260 Infinity バイオイナート HPLC システムの高い耐腐食性を示しています。さらに、低および高 pH 溶媒や高イオン強度緩衝液に対する機器の化学的耐性も確認できます。これらの利点を総合すると、1260 バイオイナート HPLC は、タンパク質アプリケーション、金属分析、厳しい条件 (高塩濃度および極端な pH) 向けの堅牢なシステムであることがわかります。

金属溶出分析の詳細については、詳しい説明が記載されたアジレントのポスターをダウンロードするか、Agilent 1260 バイオイナートの仕様とご見積り仕様の詳細をご覧ください。また、Biopharm International の記事もダウンロードすることができます。

参考文献

  1. Peter J.W. Stone and Glenn D. Woods, "Agilent 1100 HPLC Systems for Ion-Sensitive Analyses and LC-ICP-MS Applications", Technical Note, Agilent Technologies