ポリマー固相抽出 (SPE) は、ここ数年のあいだに製薬生物学分析で広く用いられるようになったメソッドです。その理由として、以下のような SPE の特性が挙げられます。
開発中および承認済みの薬剤分子の大多数は、極性のある塩基性か中性です。これらの分子は、親水性調整を施した無極性吸着剤 (中性分子用の Bond Elut Plexa など) か、混合モードポリマーカチオン交換吸着剤 (塩基性分子用の Plexa PCX など) を用いれば、良好に SPE で抽出できます。
一部の製薬アプリケーションでは、極性酸性基および無極性酸性基により、まったく新しい治療上の作用機構が得られることがあります。そのため近年では、酸性薬剤の開発が着実に増えています。こうしたタイプの分子の場合、生物分析ラボの LC/MS/MS 分析で使用できるクリーンなサンプルを得るためには、アニオン交換 SPE の手法が必要となります。
高度なポリマーデザインによりメソッドの再現性とデータの信頼性を確保
これまで、混合モードアニオン交換 SPE は、堅牢で再現性の高いメソッドの開発に長い時間 (さらに高いコスト) が必要とされるため、困難な手法とされてきました。ポリマーアニオン交換吸着剤は、バッチ間で幅の広いイオン交換キャパシティを示すことがあるため、メソッド再現性が低くなったり、データの質が悪化したりすることがあります。
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Agilent Plexa PAX 粒子は、そうした問題を克服しました。この粒子の機能化には、きわめて高度な再現性でアニオン交換ローディングを制御する独自のプロセスが用いられています。これにより、化合物メソッドのライフタイム全体でより堅牢な性能が得られます。
Plexa PAX SPE は、他の Plexa SPE ファミリー製品と同じ、革新的な塩基性ポリマー粒子技術をベースにしています。単分散な粒子サイズ分布により、充てんベッドのつまりを最小限に抑えながら、優れたフロー特性と使いやすさが得られています。また、アミドを用いない粒子技術の採用により、結合部位が生じず、タンパク質や脂質といった内因性の干渉が排除されます。
一連の一般的酸性薬剤の血漿からの比較抽出
この例では、Bond Elut Plexa PAX と最適化した PAX メソッドを用いて、一連の極性および無極性酸性薬剤 (表 1) を血漿から抽出しました。この研究で得られたデータを、他のメーカーのポリマーアニオン交換カラムと同メーカーの推奨メソッドを用いて得られたデータと比較しました。
アジレントメソッドにより得られる 2 つの大きな利点は、抽出効率とクリーンさの大幅な向上です (表 2)。
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LC 条件
移動相: A: 5 mM ギ酸アンモニウム、
B: メタノール
グラジエント: t = 0~60 % A:40 % B
t = 3:0~3:59 分 20 % A:80 % B
t = 4:0~5:00 分 60 % A:40 % B
カラム: Agilent Pursuit XRsUltra 2.8
Diphenyl、50 x 2.0 mm (部品番号 A7521050X20)
すべてのサンプルを蒸発させ、80:20 5 mM ギ酸アンモニウム: MeOH 100 µL に再溶解しました。
絶対回収率 (添加移動相を用いたキャリブレーションにより算出) には、マトリックス干渉により生じるイオン抑制効果の影響が顕著に現れるため、絶対回収率の数字を見れば、サンプルの全体的なクリーンさがわかります。これは生物分析のメソッド開発における重要な考慮事項です。
極性および無極性酸性低分子の分析結果を向上させる最適化メソッド
この研究では、最適化された吸着剤ケミストリと高度な SPE 抽出メソッドを組み合わせれば、ポリマーアニオン交換ベースの SPE により、再現性と堅牢性の高い生物分析アプリケーション用の汎用ワークフローが実現することが証明されています。
最先端の SPE 消耗品や最新の SPE テクニックの詳細については、アジレントの SPE 製品ページをご覧ください。