Access Agilent 2011年4月号

Poroshell 120 EC-C18: 長いカラムから 75 mm カラムへのメソッド変換により、独自の利点を提供

William J. Long
アジレントアプリケーションサイエンティスト

250 mm の全多孔性 LC カラムを用いた公定分析をおこなうラボでは、小さい粒子を充てんしたカラムを用いて分析時間を短縮する必要がある一方で、メソッドの再バリデーションは避けたいという状況がしばしば生じます。スピード、分離能、感度を向上させる表面多孔性 Agilent Poroshell 120 カラムは、そうしたラボに適しています。このカラムは長さ 75 mm で、米国薬局方 (USP) および欧州薬局方 (EP) ガイドラインの定める ± 70 % という許容修正範囲内に収まっています。これらの公定メソッドに修正を加えて、2.7 µm の粒子を充てんした短い Poroshell 120 カラムを使えば、分析結果が向上します。

短いカラムでは、オリジナルの EP および USP メソッドに比べて、時間と溶媒の両方を節約できます。また、溶媒調製の頻度も低下し、廃液も少なくなります。さらに、短いカラムを使えば、メソッドに加えられる修正を迅速に評価出来るため、短い時間でメソッド開発や修正を行うことが可能です。

図 1. 第 4 世代のセファロスポリン、セフェピム (図を拡大)

75 mm Poroshell 120 カラムの利点を示す抗生物質不純物分析

第 4 世代のセファロスポリンであるセフェピムは広域抗生物質の一種で、他の市販セファロスポリン薬剤に比べて、グラム陰性菌に対する活性が改良されています。セフェピムの構造を図 1 に示しています。

EP および USP は、セフェピムおよび関連化合物の測定に関するメソッドを公開しています [12]。EP および USP メソッドでは、いずれも L1 (C18) カラム、4.6 x 250 mm、5 µm カラムの使用が規定されています。このメソッドでは、最初に 100 % 移動相 A を 10 分間維持したのち、20 分間で 50 % A までに減少させるグラジエントプログラムが用いられています。50 % A を 5 分間維持した後、溶媒を再平衡させ、最初の 100 % A の組成に戻します。総分析時間は 36 分です。

改訂版の USP チャプター <621> では、メソッドに加えられる修正について、調整とみなされ、再バリデーションが必要ない範囲が示されています [3]。表 1 に修正の範囲をまとめています。

 

カラムの長さ ± 70 %
カラム内径 ± 25 %
カラム充てん剤の粒子径 最大 50 % の減少、増加は認めず
流速 ± 50 %
注入量 システム安定性テスト基準が満たされている限り、変更を認める
カラム温度 ±10 %
移動相の pH ±0.2
UV 波長 メーカー仕様の範囲外の変更を認めず
バッファの塩濃度 ± 10
移動相組成 少量成分の調節については、± 30 % または絶対量 ± 10 % のうち、いずれか少ないほうを認める (USP の説明に従う)

表 1. USP チャプター <621> で認められるメソッド修正の範囲

最初の修正点は、粒子径 5 µm から 2.7 µm への変更です。これにより、カラム効率と圧力が高まりますが、カラムが 70 % 短いので、圧力の増加は最小限に抑えられます。Poroshell 120 の利点の 1 つに、粒子径分布の狭さがあげられます。この利点により、5 および 3.5 µm カラムと同じ 2 µm フリットの使用が可能になっています。そのため、オリジナルメソッドで用いていたもの以外のサンプル前処理手順を加える必要はありません。粒子径 3 µm 以下のカラムでは通常、充てん剤をカラム内に維持するために、小さいサイズのフリットが使われます。そのため、つまりが生じやすくなります。

2 つ目の修正点として、カラムの長さを 250 mm から 75 mm に変更しました。減少幅は 70 % で、許容範囲内に収まっています。カラム性能が十分な場合には、この変更により、サンプルのスループットを簡単に高めることができます。表 2 に、1、1.5、2 mL/min の流速におけるオリジナルのグラジエントプログラムと、75 mm Poroshell 120 カラム用に修正したプログラムを示しています。これによるクロマトグラムの変化を図 2 に示しています。分析時間が劇的に短縮されているのがわかります。Poroshell 120 カラムでは、カラム容量に比例して、注入量も少なくなります (10 µL x 75 mm/250 mm = 6 µL)。分離においては、要件は満たしているものの、小さい不純物ピークがわずかしか分離されませんでした (Rs = 2)。移動相の少量成分を調節することで、この分離能を向上させました。

  ZORBAX Eclipse Plus C18
4.6 x 250 mm、5 µm
1 mL/min
Poroshell 120 EC-C18
4.6 x 75 mm、2.7 µm
1 mL/min
Poroshell 120 EC-C18
4.6 x 75 mm、2.7 µm
1.5 mL/min
Poroshell 120 EC-C18
4.6 x 75 mm、2.7 µm
2 mL/min
注入量 20 µL 6 µL 6 µL 6 µL
% 溶媒B        
0 0 分 0 分 0 分 0 分
0 10 分 3 分 2 分 1.5 分
50 30 分 10 分 6.67 分 5 分
50 35 分 10.5 分 7 分 5.25 分
0 36 分 10.8 分 7.2 分 5.4 分
0 45 分 13.5 分 10.12 分 6.75 分

表 2. 250 mm カラム用のオリジナルグラジエントと 75 mm Poroshell 120 カラム用の修正グラジエント

図 2. 選択性を維持したまま、分析を高速化する Poroshell 120: 各種流速で ZORBAX Eclipse Plus C18 および Poroshell 120 EC-C18 カラムを用いたセフェピム不純物分析メソッド (図を拡大)。
3. アセトニトリルの初期割合を変更することで、Poroshell 120 EC-C18 カラムの分離能がさらに向上します。分析時間は 6 分未満です (図を拡大)。
図 4. 最終的に最適化された Poroshell 120 EC-C18 によるセフェピム不純物分析メソッド。4.6 x 75 mmカラム、初期アセトニトリル濃度 8 %、各種流速を使用 (図を拡大)。

短いカラムでは、平衡時間が短くなり、異なる移動相組成の評価が迅速化します。流速を 2 mL/min に上げれば (ただし、現在の規定ではメソッド修正の許容範囲外です)、4 種類の移動相組成を午後のあいだに 2 度にわたって評価できます。この評価を図 3 に示しています。オリジナルのカラムでは、この評価には丸 1 日以上を要します。

最終メソッドを図 4 に示しています。現在の指針では、オリジナルと同じ流速か 50 % 高い流速に設定できます。図からもわかるように、修正メソッドは、分離能に関するシステム適合性要件を問題なく満たしています。また、不純物ピーク B をすでに分離していたため、メソッドの堅牢性も向上しています。

時間と溶媒の節約は、あらゆる分析における重要な検討事項です。75 mm Poroshell 120 カラムは、それを可能にする特長を備えています。公定メソッドを修正する場合は、システム適合性基準を満たしている必要がありますが、メソッドで厳密に規定されていないその他の点も考慮しなければなりません。100 mm カラムの代わりに 75 mm カラムを使用すれば、ラボの時間と費用を節約することができ、1サンプルあたりのコスト削減につながります。

Poroshell 120 カラムを使えば、分析を高速化し、スループットと生産性を高めることができます。公定メソッドに修正を加え、2.7 µm の小型粒子を充てんした短いカラムを使用すれば、分析結果が向上します。Poroshell カラムや、ラボにおける利点の詳細については、アジレントの製品ページをご覧ください。

 

参考文献

  1. USP Cefepime Impurity Method, "United States Pharmacopeia 31 NF 26," Rockville, MD. 2008.

  2. Cefepime Impurity Method, "The European Pharmacopoeia," seventh edition, Council of Europe, 2011.

  3. USP Method Validation Guidance, "United States Pharmacopeia 30 Supplement 2: System Suitability Testing," Rockville, MD. 2007, Chapter <621>.