Access Agilent 2011年1月号

二次元アレイ(FPA)を用いた高速 FTIR イメージング

Jonah Kirkwood
Agilent FTIR プロダクトマーケティングマネージャ

FTIR イメージングのアプリケーションの一つに、薬剤コーティングやシリコンウエハーなどがあります。製品の品質や研究の結果を維持するためには、分析の精度と速度を高めることが不可欠です。Agilent 620 FTIR 顕微鏡なら、きわめて短い時間での品質の高い分光イメージングを実現できます。製品に含まれる汚染物質や欠陥の分析、錠剤に含まれる成分分布の分析にも、疾患組織の化学的変化の測定にも対応することが可能です。

Agilent 620 は、フーリエ変換赤外 (FTIR) 分光イメージング顕微鏡です。Agilent 620 では、二次元アレイ (FPA) [1] イメージングが使用されています。そのため、数百から数千のスペクトルを同時に取得することが可能です。FPA 検出器は、各ピクセルで個別の赤外スペクトルを得られるので、空間分解されたスペクトルを n 個単位で取得することが可能です (検出器アレイで n = 16、32、64、128)。数分で何千ものスペクトルを同時に取得できる FPA 検出器なら、特定の化合物の特徴や濃度のほか、観測部における化合物の分布状況に関する情報を得ることができます (図 1 参照)。

図 1. 同じイメージ内の空間的に異なる 3 地点において、それぞれに対応する赤外スペクトルにより、3 つの化学種が同定されています(図を拡大)。
図 2. a) アジレントの 128 × 128 FPA 検出器の高空間分解モードでは、1 回のスキャンで最高 700 × 700 ミクロンを分析できます。b) 他の FPA 検出器では、340 × 340 ミクロンほどしか分析できません。

広い観測視野: 時間を大幅に節約

Agilent 620 イメージング顕微鏡の光学構成なら、短い時間で広いエリアを素早く調べることが可能です。FTIR イメージングシステムの視野角 (FOV) は、1 回の分析の際に二次元で測定されるエリアをさします。FOV は、システムの全体的な倍率とイメージング検出器のサイズにより決まります。

各光学構成が独自の FOV とピクセル分解能を備えているので、幅広いアプリケーションに効果的に対応できます。たとえば、欠陥解析を伴うアプリケーションや、目に見える情報だけでは赤外分析に必要なエリアが正確にわからないアプリケーションでは、広い FOV の効果が大きくなります。こうしたケースでは、高い空間分解能を備えた高品質の高速化学イメージングにより、分析エリア内で欠陥を見つけられる可能性が高まります。

FOV は、システムの全体的な生産性に大きな影響を与えるため、赤外イメージングシステムの選択において、もっとも重要な考慮点となります。図 2a には、アジレントの 128 × 128 FPA 検出器の高ピクセル分解モードを用いて (16,384 スペクトルに相当)、1 回のスキャンで分析したサンプルエリアを示しています。また、図 2b には、同じ取得条件で、他の FPA システムを用いて、128 × 128 FPA 検出器で分析できたサンプルエリアを示しています。優れた FOV を備えたアジレントの化学イメージングシステムでは、より多くのものを見ることができます。

視野が広ければ、得られる化学情報も多くなります。Agilent 620 システムは、他社のシステムの 4 倍の FOV を備えていますので、生産性も 4 倍に向上します。

アジレントの FOV の利点は、Attenuated Total Reflectance (ATR) アクセサリを用いたマイクロイメージングでも発揮されます。このケースでは、分析時間を大幅に短縮することができます。たとえば、アジレントの 64 × 64 FPA 検出器をマイクロ ATR イメージングモードで用いると、70 × 70 µm の範囲をカバーできますが、他の FPA システムでは、およそ 35 × 35 µm 分のデータしか取得できません。

分析によっては、イメージ取得の際に、1.1 µm (マイクロ ATR モード) や 5.5 µm (リフレクションまたはトランスミッションモード) の高ピクセル分解能モードを必要としないこともあります。そうしたケースでは、Field Expanding Optics (FEO) を使用するほうが効果的です。FEO では、視野を 4 倍に広げ、中程度のピクセル分解モード (11 µm) でデータを取得できます。

アジレントのイメージングシステムのみに搭載されている FEO は、ユーザーによる選択が可能な便利なメソッドで、分析エリアを 4 倍に広げることができます。同じサイズの他社 FPA システムと比べると、Agilent FPA でもすでに FOV は 4 倍になっていますが、FEO なら、他社システムの 16 倍もの FOV が実現します。アジレントのイメージングシステムに標準装備されている FEO を使えば、大きなサンプルの分析時間を大幅に短縮すると同時に、シグナル/ノイズ比性能も高めることができます。

生産性とデータ品質が向上

アジレントの化学イメージングシステムは、広い視野のほかにも、他社の FPA にはない利点を備えています:

  • サンプルの表面を傷つけずに、最適なマイクロ ATR コンタクトを実現し、サンプル観測を向上させる較正済みのライブ赤外イメージ

  • 優れた感度と分析性能

  • 優れた分析の柔軟性とシンプルな構造

  • パワフルで堅牢なソフトウェア

Agilent 620 顕微鏡は、市場で最高の性能、汎用性、スピードを備えた化学イメージングシステムです。最先端の光学設計により、最高の分析感度と柔軟性が実現しています。620 システムなら、ポリマーや材料、生物学、バイオ医薬品、化学、石油化学といった幅広いアプリケーションにおいて、分析上の難問を迅速に解決することができます。こうしたアプリケーションに携わっている方は、アジレントの FTIRイメージングの各種製品や機能の詳細をご確認ください。

脚注

  1. 本製品は、国際武器取引規則、22 CFR 120-130 ('ITAR') にもとづき、米国務省による規制の対象となっています。そのため、米国から本製品を輸出する場合は、米国政府の発行する輸出許可証が必要となります。また、本製品および本製品で使用される FTIR 機器の輸送、使用、サービス提供などの局面については、その他の ITAR 規則が適用されます。