Access Agilent 2010年8月号

Solvents-Plus GC/FID-MSD リテンションタイムロッキングデータベースおよびライブラリ

Mike Szelewski
アジレントシニアアプリケーションケミスト

様々な業種のラボでは、溶媒などの揮発性化合物を、より高速に測定でき、かつ信頼性の高いメソッドが求められています。多くの場合、こうしたラボでは、ターゲット化合物に加えて、ガスクロマトグラフ (GC) 分析で検出される予想外のピークも分析しなければならないことがあります。370 以上の溶媒や関連揮発性化合物を網羅するパワフルな新しいデータベースライブラリを使えば、こうした分析時間が短縮され、精度も高まります。このデータベースライブラリは、高品質の化学溶液や標準物質の大手サプライヤである ULTRA Scientific の協力により構築されたものです。

ターゲット化合物分析は難しいものですが、しばしば検出される重要な未知化合物の同定には、それ以上の困難が伴います。たとえば、溶媒のメーカーは、GC に水素炎イオン化検出器 (FID) や質量選択検出器 (MSD) を組み合わせて、バルク溶媒を分析しています。この場合、メソッドのターゲットではない予想外のピークが問題となることがあります。織物や玩具のメーカーは、製品を分析し、毒性のある未知物質など、ガス放出される可能性のある揮発性物質の有無を確認しています。環境分析では、一般にターゲット化合物のリストが用いられていますが、その他のピークの同定が必要となることもしばしばです。

溶媒や揮発性物質を簡単かつ高い信頼性で同定

ターゲット化合物と未知の溶媒および揮発性物質の分析において、生産性と信頼性を高めるために、アジレントは Solvents-Plus GC/FID-MSD RTL データベースライブラリを開発しました。このライブラリは、以下で構成されています:

この包括的なデータベースライブラリを使えば、FID でリテンションタイムをロックしてターゲット化合物および未知物質を同定できるほか、MSD スペクトルを利用できる場合には、さらに確認することができます。RTL を用いれば、同じメソッドを使用する場合に、あらゆる Agilent GC または GC/MSD でリテンションタイムをきわめて高い精度で再現できます。RTL により、標準物質がない未知物質のこのライブラリとの同定精度も高まります。

 

図 1. Agilent DRS と Agilent Solvents-Plus GC/FID-MSD RTL データベースライブラリを使えば、わずか数分でこのサンプルを自動的に分析できます(画像を拡大するにはここをクリックします)。

Solvents-Plus GC/FID-MSD RTL データベースライブラリには、ロックされたリテンションタイムに加えて、アジレントおよび AMDIS フォーマットの MSD ライブラリの完全版も含まれています。AMDIS (NIST 自動質量スペクトル・デコンボリューション同定ソフトウェア) フォーマットでは、Agilent デコンボリューションレポート作成ソフトウェア (DRS) を利用することができます。DRS は、デコンボリューションされたスペクトルをもとにサンプル化合物を同定する際に役立ちます。Agilent DRS の詳細ページでは、DRS プロセスの仕組みを紹介しています。DRS を用いた解析では、操作者によるデータ検証時間が最小限に抑えられるため、手動によるデータ検証と比べて、偽陽性や偽陰性を少なくなります。

新たなデータベースライブラリを開発する際には、Agilent 7890A GC システムAgilent 5975C シリーズ GC/MSD を組み合わせてデータを採取しました。ホットスプリット注入とポストカラムキャピラリ・フロー・テクノロジー (CFT) のスプリッタを用いて、MSD および FID と連結しました。リテンションタイムをロックしたメソッドでは、Agilent J&W DB-5ms Ultra Inert カラム、30 m × 0.25 mm × 1.0 µm (DB-5ms UI、部品番号 122-5533UI) を使用しました。5 ppm のシングルキャリブレーションレベルで定量データベースを構築しました。質量スペクトルのデコンボリューションには、米国標準技術局 (NIST) の提供する業界標準の AMDIS を使用しました。

 

表 1. この DRS レポートは、Solvents-Plus GC/FID-MSD RTL データベースを用いた複雑なクロマトグラムの全自動データ解析により得られたものです(画像を拡大するにはここをクリックします)。

お使いの機器構成にフィットするメソッド

Solvents-Plus GC/FID-MSD RTL データベースライブラリは、4 セットのリテンションタイム (RT) およびメソッドを提供します。このなかには、カラムを CFT スプリッタに連結した定流量モードおよび定圧モードでの RT や、カラムを MSD に直接連結した定流量モードおよび定圧モードでの RT が含まれます。

各メソッドの分析時間は約 22 分です。定圧モードメソッドでは、メソッドを調節して、分析を高速化することもできます。これら 4 つのメソッドにより、ラボのニーズに対応できる様になっています。

手間を減らして確実性を高めるデータベースライブラリ

図 1 には、溶媒および揮発性物質のトータルイオンクロマトグラムを示しています。表 1 は、デコンボリューションしていない面積でキャリブレーションしたクロマトグラムの DRS レポートを示しています。

表 1 のレポートでは、以下の 3 つのソースから得られた結果を組み合わせ、読みやすいフォーマットにまとめています:

  • Agilent MSD ChemStation による同定および定量
  • フルスペクトル同定および定量を用いた AMDIS デコンボリューション
  • NIST フルスペクトル検索

ターゲット溶媒化合物と未知ピークの両方を、より簡単かつ確実に同定する必要があるなら、Agilent デコンボリューションレポート作成ソフトウェア(DRS)および Agilent Solvents-Plus GC/FID-MSD RTL データベースライブラリの詳細をご覧ください。