Access Agilent 2010年5月号

キャピラリ電気泳動 : バブルセル(光路拡張)キャピラリによる感度の向上

Marc Fuehrer
アジレント カラム・消耗品 プロダクトマネージャー

図 1. バブルセルキャピラリは、検出部分のみ内径が拡張されています。
図 2. バブルセルキャピラリを Agilent 7100 キャピラリ電気泳動システムで使用すると、ダイオードアレイ検出での感度が向上します(画像を拡大するにはここをクリックします)。

キャピラリ電気泳動 (CE) は内径 25 ~ 75 μm というキャピラリ内でオンサイン検出を行うため、一般に光路長が短く、検出において LC にはない問題があります。より内径の大きなキャピラリを使用すれば光路長を延長できますが、電流値が高くなり、キャピラリ内に熱が発生するため望ましくありません。アジレントはバブルセルキャピラリ (「光路拡張キャピラリ」 とも呼ばれます) という特殊なキャピラリ設計により、最低限の電流と最高の感度を同時に実現する独自のソリューションを提供します。

3 ~ 5倍の感度向上

Agilent バブルセルキャピラリの内径は、オンライン検出部分の内径が 3 ~ 5 倍に拡張された構造になっています (図 1)。キャピラリ電気泳動法では、感度はキャピラリ内径に直接比例するため、この光路拡張によってダイオードアレイ検出の感度が向上します (図 2)。重要なのは、バブルセル内部でのバンドの広がりがなく、事実上分離が損なわれないことです。[1]

バブルセルキャピラリでは、検出部のみキャピラリ内径が拡張されているため、内径の小さいキャピラリを使用した時の低電流と、内径の大きいキャピラリを使用した時の高感度検出が同時に実現します。高い電場または高伝導緩衝液が必要な場合は、25 μm のキャピラリを使用すると、発生するジュール熱の悪影響を回避しながら、検出下限を下げることができます。

これらのキャピラリをアジレントの対応するアラインメントインターフェース(光軸調整部品)と共に使用すると、分離が維持されます。これらのインターフェースには、最適化された感度と直線性を実現するために、キャピラリ内径と正確に一致する光学スリットが用意されています。これらのアライメントインターフェースによって、バブルセルキャピラリの検出部を最適な位置に配置することができます。このため、バブルセルキャピラリ使用時でも再現性が良く信頼性の高い測定結果を得ることができます。

 

図 3. バブルセルキャピラリは、ピーク形状を維持しながら感度を向上させます(画像を拡大するにはここをクリックします)。
表 1. Agilent CE システム用のバブルセルキャピラリ(コーティングなし/2 本入り)のラインナップ(画像を拡大するにはここをクリックします)。

図 3 は、バブルセルキャピラリを使用した時の感度向上と、エレクトロフェログラムのピークの形状を示しています。図 3A は、内径 25μm の標準フューズドシリカキャピラリでのサンプルの分析例、図3B は内径 25μm、バブルファクター(BF)が 5 のバブルセルキャピラリで図3A と同様のサンプルを分析した例です。バブルセルキャピラリ使用時は感度が向上しています。図 3C は、標準キャピラリとバブルセルキャピラリでの分析のピークを重ね書きしたもので、分解能とピーク形状が同じであることを示しています。

分析ニーズを満たすキャピラリの選択

バブルセルキャピラリは、従来の Agilent 1600 CE 機器に加えて、新しい Agilent 7100 キャピラリ電気泳動システムでも使用できます。表 1 に、これらの機器で使用可能なバブルセルキャピラリを示します。

Agilent バブルセルキャピラリは、内径の小さいキャピラリでの検出が困難な場合にも優れたソリューションを提供します。詳細については、技術資料 (5990-3410EN) をご覧ください。この資料では、バブルセルキャピラリの概要を説明し、検出下限と直線性の実例を示しています。CE の概要を知りたい場合は、Agilent キャピラリ電気泳動入門 (5990-3777EN) をご覧ください。

 

参考資料

1. “Guide to Capillaries, Reagents, and Supplies for CE and CEC,” Agilent publication number 5990-3822EN, page 14.