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既存の LC メソッドを変換して、高速または高分解能のメソッドを得たいと考えるラボは多いものの、ほとんどの LC はこのニーズに対応できていません。このような LC では、ディレイボリュームが大きく、ピークが拡散してしまいます。また、高流量で粒子径の小さいカラムを使う場合、すぐに耐圧の上限を越えてしまいます。Agilent 1290 Infinity LC システムは、この問題を克服し、分解能、再現性、直線性を維持したまま、高速な分析を実現しています。この記事では、Agilent 1290 Infinity LC システム上で従来型の麻酔剤分離メソッドをハイスループットメソッドに変換することで、この高い性能を実証しています。
メソッド変換を容易にする革新的な設計
分析時間を短くし、分離能を向上させ、溶媒コストを削減するためには、内径 4.6 mm、粒子径 5 μm のカラムを用いたメソッドを、より小さな内径と粒子径の小さいカラムのメソッドに変換する必要があります。しかし、一部の LC システムの経路設計は、一般的なカラムタイプ (内径 4.6 mm のカラムなど)に最適化されているため、より小さな内径のカラムを使用する場合、高品質のクロマトグラフィを得ることができません。
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この問題を解決したのが 1290 Infinity LC システムです。内部容量が非常に小さいため、高速で高分解能の分離を行う際の拡散とピーク幅を最小限におさえられます。低容量の Jet Weaver ミキサーのマルチレイヤー技術が、高速グラジェント混合と正確なグラジェントを実現します。また、一般的なシステムより高い 1200 bar までの背圧を許容できるため、流量やカラム (内径、長さ、粒子径) の制限がありません。
分析時間が十分の一に
アプリケーション例として、4 種類の局部麻酔剤混合液の分析で粒子径 5 µm のカラムを 1.8 µm カラムに変換し分析をしました。図 1 に Agilent ZORBAX Eclipse Plus C18 カラム (150 × 2.1 mm、5 µm) を用いて流量 0.8 mL/min で行った最初の分析結果を示します。使用した麻酔薬はすべてアミン系なので、逆相カラムでテーリングを起こす傾向を持ちます。図 1 では、ピークテーリングを避けるため pH 8.2 で分離しています。
図 2 は、同じ分析を粒子径 1.8 µm のカラムで行った結果です。このクロマトグラムでは、Agilent ZORBAX Rapid Resolution High Definition (RRHD) カラム (150 × 2.1 mm、1.8 µm) を使用し流量 1.9 mL/min、グラジェント分析で行いました。その結果、最初の分析の十分の一の時間 (0.6 分) で分析が完了しました。高い背圧に耐えられる LC とカラムにより、流量とグラジェントの変化量を増やすことができ、その結果、分析時間を短縮できます。この分析の背圧は 945 bar でしたが、LC とカラムの限界である 1200 bar にはまだ余裕がありました。
ラボの厳しい要求に対応
多くのラボでは高いデータ品質が要求され、分析の品質を落とすことなく、スピードを向上させなければなりません。たとえば、QC (品質管理) ラボは、分解能、保持時間とピーク面積の正確性、および直線性に関して一定の基準を満たす必要があります。1290 Infinity LC がこの基準を満たせるかどうか試したところ、図 2 で示すように高速分析で必要となる高流量と高背圧でも、高品質の結果データが得られました。表 1 に示すように、1290 Infinity LC はハイスループット分析を実現しながら、QC ラボの基準を十分にく満たしています。
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容易にメソッドを変換し
信頼性の高い結果を得る
既存の LC メソッドを、高速、高分解能のメソッドに変換することは必ずしも難しいことではありません。Agilent 1290 Infinity LC システムなら、さまざまなカラムサイズ、粒子径、そして移動相と固定相を持つカラムを自由に選択できます。また、他の LC システムのメソッドにも対応し、ハイスループットの条件下でも高品質のクロマトグラフィデータが提供されます。お客様のラボでこのような高い性能が要求されている場合、Agilent 1290 Infinity LC システムと Agilent ZORBAX (RRHD) カラムをお奨めします。この記事で取り上げた分析の機器構成や結果についての詳細は、アプリケーションノート (5990-4994EN) をご覧ください。