Access Agilent 2010年2月号

温室効果ガスアナライザによる同時分析の簡易化

Chunxiao Wang
アジレント アプリケーションケミスト

地球の大気中に含まれる主要な温室効果ガスである二酸化炭素 (CO2)、メタン (CH4)、二酸化窒素 (N2O) は、熱を抱え込み、地球の気温に影響を与えます。温室効果ガスを継続的に測定することにより、放出の傾向を追跡し、気候変動に対処するために必要な意味のある情報が得られます。2010年 1月現在、米国環境保護庁は、温室効果ガスを大量に排出する団体に対し、新しい報告システムの下で温室効果ガスのデータ収集を行うことを義務付けました。

アジレントは、大気サンプル中の CH4、CO2、N2O を同時に分析する、工場試験済みのさまざまな温室効果ガスアナライザを、Agilent 7890 シリーズ GC をベースにしてきました。これらのアナライザは、土壌ガスおよび植物呼吸分析や、対象化合物としてCH4、N2O、CO2 などのガスが含まれる他の分析にも使用できます。

図 1. アジレント温室効果ガスアナライザの構成(画像を拡大するにはここをクリックします)。
図 1. アジレント温室効果ガスアナライザの構成(画像を拡大するにはここをクリックします)。
図 2. ラボの空気のクロマトグラム(画像を拡大するにはここをクリックします)。
図 2. ラボの空気のクロマトグラム(画像を拡大するにはここをクリックします)。
図 3. 100 倍希釈時の CH4、CO2、および N2O 標準ガスのクロマトグラム(画像を拡大するにはここをクリックします)。
図 3. 100 倍希釈時の CH4、CO2、および N2O 標準ガスのクロマトグラム(画像を拡大するにはここをクリックします)。
図 4. 約 0.5 ppb の SF6 標準ガスのクロマトグラム(画像を拡大するにはここをクリックします)。
図 4. 約 0.5 ppb の SF6 標準ガスのクロマトグラム(画像を拡大するにはここをクリックします)。

これらのアナライザの 1 つ (オーダ番号 SP1 7890-0468 & 7890-0519) を例として使用し、機能と性能を示します。

この温室効果ガスアナライザには 3 つのバルブと 2 つの検出器が搭載され、1/8 インチのステンレス製パックドカラム (HayeSep Q 80/100) を使用しています。メタナイザと FID の組み合わせにより微量の CH4 と CO2 を測定し、マイクロ ECD が N2O を検出します。図 1 に、このシステムのバルブの図を示します。10 ポートバルブの代わりに 6 ポートバルブを使用して、ヘッドスペースサンプラによる自動サンプリングを行うこともできます。

1 回の注入で温室効果ガスを同時に分析

2 つの検出器を使用したシングルチャネルの7890 シリーズ GC アナライザを構成することにより、複数の温室効果ガスを 1回の注入で同時に分析することができます。図 2 に、実際のラボの空気で測定したクロマトグラムを示します。N2O、CH4、CO2 の測定濃度は、1 回の注入でそれぞれ 473 ppb、2.7 ppm、380 ppm です。さらに図 3 に示すように、7890 シリーズ マイクロ ECD の高い感度により、約 32 ppb までの N2O 検出を優れた S/N 比で確実に行うことができます。

簡単な調整により SF6 の分析も可能

温室効果ガスアナライザには、六フッ化硫黄 (SF6) の分析も容易に組み込むことができます。SF6 がカラム 1 (プレカラム) に溶出されるように、バックフラッシュ時間を遅らせるだけです。図 4 に、サンプル量が 1 mL のときの約 0.5 ppb の SF6 のクロマトグラムを示します。

ダイナミックブレンドシステムによりガスの較正を自動化

N2 を希釈ガスとし、ダイナミックブレンドシステムを使用して微量の較正標準ガスを調製できます。図 3 に示す注入されたクロマトグラムは、ダイナミックブレンドにより 100 倍希釈で調製されたものです。図 4 に示す 0.5 ppb の SF6 標準は、ダイナミックブレンドにより標準 (元の SF6 標準ガスの濃度は 100 ppb) を 200 倍に希釈して調製したものです。

優れた再現性を示すアナライザ

21 回の連続した分析で得られた再現性の測定結果を表 1 に示します。このアナライザ設定を使用した CH4、CO2、および N2O 標準ガス分析でのピーク面積の再現性が優れていることがわかります。

Name
Average(Area)
STDVE
RSD%
CH4
149.26
0.29
0.20

CO2

2779.04
17.16
0.62
N2O
8253.96
11.06
0.13

表 1. 温室効果ガス標準の再現性 (n=21、最初の分析を除く)

3 つの検出器を使用しさらに迅速に測定

温室効果ガスの分析を迅速に行いたいラボ向けに、次のようなオプションが用意されています。もう 1 台の温室効果ガスアナライザ (オーダ番号 SP1 7890-0467 & 7890-0519) は、FID、TCD、およびマイクロ ECD の 3 つの検出器を搭載しています。この 3 つの検出器によってさらに柔軟性が向上するため、バルブの切り替え時間が減り、メソッドの設定が容易になります。第 3 の TCD 検出器を使用することで、幅広い濃度範囲の CO2 も測定できるようになります。いずれのアナライザでも、温室効果ガス (N2O、CH4、CO2、SF6) について同じ結果が得られています。

 ※2013年5月アップデート